ウシュアイアから出航:南極への旅が始まる
船選びとルート計画、ドレーク海峡への覚悟を経て、ついにウシュアイアで南極行きの船に乗り込んだ。
ウシュアイアに到着。いよいよ南極への旅が始まる!
何しろ南極だ。ずっと前から行きたくて仕方がなかった。何年か前にネットで調べたとき、南極行きの船は予約がとにかく難しく、基本的には一年前から押さえる必要があると書かれていた。僕が実際に予約したのは前年の4月。なぜ4月だったかというと、それまではエジプトのことで忙しかったからだ。それに、見ていた旅行代理店のツアーページにはずっと空きがあったので、帰ってから予約すればいいと思っていた。
そして、自分がまだ甘かったことを思い知った。代理店のページにいつまでも空きがあるのは当然だった。あれは外部の販売ページで、実際の船室在庫が自動更新されるわけではない。しかも「申し込む前にお問い合わせください」とはっきり書いてある。満室なら、問い合わせたときに「空いていません」と言えばそれで終わりだ。僕が予約できるかどうかなんて、サイト側には知ったことではない。
その仕組みを理解したのは、4月になって南極旅行の攻略を真面目に調べてからだった。まずは会社を選ばなければならない。自社で船を運航し、そのまま南極まで連れていってくれる会社なら、さらに代理店を挟む必要はない。代理店経由だと、どうしても余計に高くなりそうな気がしてしまう。いちばん安い船室でも1万ドル近いのに、そこからさらに中間マージンまで払ったら、いったいいくら損するのか。
南極へ行ける会社はそれなりに多く、攻略記事を読むと検討項目が次々に出てきた。南極での上陸には、上陸地点の受け入れ人数、グループ分け、上陸やクルーズに使うゾディアックボートの運用など、いろいろな制約がある。一般的には、船が大きく乗客が多いほど、上陸の運営にも制限が出やすい。大きな船は揺れにくく船酔いしにくい代わりに、上陸時間が短くなりがちで、小さな船はその逆。スタッフやガイド、乗組員と乗客の比率も大事で、スタッフが少なすぎるとサービスが落ちる。何日も船で暮らすのだから、これは無視できない。ほかにもあらゆる項目に評価があり、読めば読むほど頭が痛くなった。
最終的には、ある記事のおすすめを信じて Lindblad Expeditions を選んだ。値段は高めらしいが、サービスがとてもよく、かなりプロフェッショナルだという。そして、この会社を選んだ大きな理由がもう一つある。長年 National Geographic と提携していて、プログラムの正式名称が National Geographic-Lindblad Expeditions だったのだ。南極クルーズ会社のことは全然知らない。でも National Geographic なら知っている。名前を聞いただけで一気に信用できそうな気がした。
会社を決めたら、次は出発日を選ぶ。日程はたくさんあり、だいたい週に一本くらい。ただし、日によってルートが少しずつ違う。アルゼンチンから船で出発し、帰りも船でアルゼンチンへ戻るものもあれば、帰りは飛行機でチリへ向かうものもある。中には出発も帰着もチリで、往復とも飛行機というルートまであった。
当時僕たちが聞いていた話では、アルゼンチンと南極の間にあるドレーク海峡はかなり恐ろしく、世界でも特に危険な海域の一つだと言われていた。地図を見ると、その評判の理由も分かる。南米と南極の間にある海の通り道で、南極環流が通過する。南半球の高緯度にはもともと強い偏西風が吹き、南極の周囲にはそれを遮る大陸がほとんどない。強い海流に、強い風とうねりが重なり、ドレーク海峡は荒れることで有名になった。
僕は船酔いがかなりひどいので、できることなら避けたかった。でも、もう避けられなかった。予約した時点で、往復とも飛行機を使う船は都合のいい日程が満室。選べるのは2月末だけだったが、いろいろ考えてやめた。一方、往復とも船のプランは、船で行って飛行機で帰るプランより二日長く、数千ドルも高い。それなら安いほうを選ぶに決まっているし、ドレーク海峡で往復二回も苦しむ必要はない。結局、行きは船で南極へ向かい、帰りは飛行機でチリへ戻るルートにした。
その結果、アルゼンチンのビザが必要になった。往復ともチリから飛行機を使うだけなら、当時の僕の条件――中国のパスポートとアメリカのグリーンカード――では、チリにビザなしで入国できたからだ。
アルゼンチンのビザがどれだけ面倒だったかは前の記事ですでに書いたので、ここではもう繰り返さない。
とにかく、数々の困難を乗り越えて、ようやくウシュアイアに到着した。ツアーのスタッフが迎えに来てホテルまで送ってくれ、そのまま僕たちのパスポートを「没収」した。もちろん本当に取り上げられたわけではなく、渡航や遠征に必要な手続きを進めるため、一時的に預けたということだ。
その夜のウェルカムディナーで、ガイドが堂々と自己紹介した。名前はマイケル・ジャクソン。本人いわく、冗談ではなく本名らしい。彼が生まれたころ、歌手のマイケル・ジャクソンもまだ赤ちゃんだったので、あのスターにちなんで付けられた名前では絶対にない。
翌日は、近くの国立公園を見学した。正直、内容はちょっと薄めだった。
その後、ウシュアイアで有名な Les Éclaireurs 灯台を見に行った。
この島では、すでにたくさんのペンギンを見ることができた。ツアーのみんなもかなり興奮していた。でも二日後には、たぶんこの何十倍どころではない数のペンギンを見ることになるなんて、誰も想像していなかったと思う。
その夜、僕たちは南極へ向かう船、National Geographic Explorer に乗り込んだ。
南極への旅が、正式に始まった!